比較

卸売マーケットプレイスとブランドの受注ポータル:2つのツール、2つの役割

卸売マーケットプレイスに参加するか、自社の受注ポータルを開設するか。ブランドが小売店へのオンライン販売を考えると、必ずこの問いに行き当たります。2つのツールの目的は異なります。前者は見つけてもらうため、後者は追加発注してもらうためのものです。それぞれの強みと限界を項目ごとに整理し、組み合わせ方を紹介します。

6分で読めます ·

この記事のポイント

  • 卸売マーケットプレイスは主に新しい小売店に見つけてもらうためのもの、ブランドの受注ポータルは既存の取引先に発注してもらうためのものです。
  • マーケットプレイスでは、ブランドは他のブランドと並んで掲載され、ルールはプラットフォームが決めます。
  • 自社ブランドのポータルなら、取引条件、価格、顧客との関係を自社でコントロールできます。
  • ブランドポータルは、取引が繰り返される取引先のための業務ツールです。小売店はそこで、自社の価格と条件で追加発注します。

ある若いブランドでは、セレクトショップからの最初の注文が卸売マーケットプレイス経由で届きます。シーズン中の次の注文は、担当エージェントへのメールで届きます。同じ取引先が、すでに2つのツールに分かれて存在しているのです。

小売店にオンラインで販売するために、ブランドには大きく2つの選択肢があります。多数のブランドのカタログをバイヤーが閲覧する卸売マーケットプレイスに参加するか、自社のBtoB受注ポータルを開設するかです。両者は異なる目的に応えるものであり、混同すると、本来そのために作られていない役割をツールに期待することになります。

卸売マーケットプレイスとは?

卸売マーケットプレイスとは、多数のブランドと、独立系の小売店、セレクトショップ、百貨店などのホールセールのプロのバイヤーをつなぐオンラインの市場です。バイヤーはそこでブランドを見つけ、比較し、発注します。

プラットフォームは通常マッチングを担い、場合によっては決済や与信条件も管理します。収益源は、売上に対するコミッションか月額料金です。

ブランドのBtoB受注ポータルとは?

BtoB受注ポータルとは、自社ブランドのイメージで構築された、取引先のプロ専用のオンラインスペースです。各小売店はログインして、コレクションの閲覧、自社向け価格の確認、注文状況の確認、追加発注を行います。

最低発注量、前払い金、支払条件、アソートなど、ブランドの取引条件がそのまま適用されます。

卸売マーケットプレイスとブランドポータル:項目別の比較

卸売マーケットプレイスとブランドポータル
基準卸売マーケットプレイスブランドポータル
主な目的新しいバイヤーに見つけてもらう取引先に発注してもらい、関係を深める
ブランドイメージ多数のブランドのひとつとして掲載完全に自社ブランドのデザイン
価格と取引条件プラットフォームの枠組みの中で設定自社の条件を取引先別・国別に設定
顧客との関係プラットフォームと共有直接
販売データアクセス範囲はプラットフォーム次第完全で活用可能
コストコミッションまたは月額料金ツールの利用料
追加発注プラットフォーム内で可能実在庫に基づき、自社のルールで
展示会での受注との連携通常は別々同じカタログ、同じ取引先、同じルール

卸売マーケットプレイス:集客力と引き換えに、主導権の一部を手放す

マーケットプレイス最大の強みは、その集客力です。新しいブランドを積極的に探しているバイヤーが集まっています。代金回収のリスクを引き受けてくれるプラットフォームもあります。

その一方で、ブランドは競合を含む多数のブランドと並んで掲載され、バイヤーは比較しながら選びます。コミッションは利益を圧迫し、プラットフォームのルールがブランドの取引条件より優先されます。小売店との関係も、一部はプラットフォームのものになります。

さらに、マーケットプレイスが展示会での受注と連携していることはまれです。取引先と注文が2つのツールに分かれ、シーズンの終わりに2つの履歴を突き合わせる作業が発生します。

ブランドポータル:取引先を定着させ、一社ごとの取引を伸ばす

受注ポータルは、商談と商談のあいだも取引関係をつなぎ続けます。小売店は自社向けの価格、購買履歴、取引条件を確認できます。複数ブランドを扱うエージェントの次の訪問を待たずに、必要なときに追加発注できます。ブランドはイメージ、価格、データ、利益を自らコントロールできます。

ポータルを最大限に活かすには、各取引先に周知し、最新のコレクションと在庫を反映し続けましょう。その仕組みはシーズン中の追加発注のガイドで詳しく解説しています。

卸売マーケットプレイスと受注ポータル、どう選ぶべきか

選択は、いま何を優先するかによって決まります。

チャネルを問わず、取引先情報は1つに

取引が繰り返されるようになれば、ポータルが日々の業務ツールになります。小売店が自社の価格と条件で追加発注するのはそこです。すでに展示会で販売しているブランドは、シーズンが終わったらすぐに取引先をポータルに招待するのが得策です。

いずれの場合も守るべきルールはひとつ、注文がどのチャネルから来ても取引先の情報は1つにまとめることです。BtoBバイヤーが好むチャネルに関するマッキンゼーのデータは、記事ホールセールのデジタル化で本当に削減できる時間は?で紹介しています。

よくあるご質問

マーケットプレイスに出店しながら、自社のポータルを持つことはできますか?

はい、よくあるケースです。マーケットプレイスは認知を広げるために使います。ポータルは、獲得した取引先に自社の条件で追加発注してもらうために使います。

BtoB受注ポータルはECサイトと同じですか?

いいえ。登録されたプロの取引先専用で、卸価格、最低発注量、支払条件があります。生産前に販売するコレクションを扱うことも多くあります。

取引先は本当にオンラインで発注してくれるでしょうか?

ポータルがシンプルで、価格と購買履歴が正確であれば、商談の合間に自分で追加発注したいと考えるプロのバイヤーは増えています。マッキンゼーによると、サプライヤーとのやり取りにおいて、オンラインのセルフサービスは対面の商談やリモートでのやり取りとほぼ同じ比重を占めるようになっています。

出典

  1. デジタルプラットフォーム取引透明化法 — 経済産業省
  2. Five fundamental truths: How B2B winners keep growing — McKinsey & Company
  3. Wholesale and retail explained: Definitions, examples, and pricing strategies — FashionUnited

あわせて読みたい